2020年の楽曲BEST10を決めていく。
あけましておめでとうございます。
2020年の大部分を家で過ごしたため音楽を聴いている時間がゲームと同じぐらい増えました。
いくつかライブに行く予定もあったのですが延期になったり中止になったり、場所が変わって断念したり。結局今年…というか自粛が本格的になってからライブ行ったのは1回だけだったのでやっぱり寂しいかったのですが、「なんだかんだで無くても生きれるな…」と気づいた1年でもありました。
というわけで今年聴いた曲で特によかったなという10曲を絞ってオススメします。(唐突)
めんどくさいから前書きはいいんだよ!!以前は買ったモノとか書いてたんですけど絶対こっちの方が需要あるわと気づきました。そもそも今年は真新しいモノ買えてないしな!!
- 今年リリースされたもの。
- いちアーティストにつき一曲。
- 特に順位は無い。
- 完全に僕の好み。
という事を念頭においてご覧ください。
- 『何なんw』/藤井風
- 『HORN』/Kroi
- 『In Your Eyes』/The Weekend
- 『Hole in The Sun』/Point Break Candy
- 『海猫』/中田裕二
- 『Lucky Sue』/Men I Trust
- 『紫陽花と雀』/大槻美奈
- 『感電』/米津玄師
- 『Drifting』/Cassia
- 『愛なんて』/SPENSR
- 『The Plan』/Travis Scott
『何なんw』/藤井風
2020一押しアーティスト。Youtube発の…そもそもyoutuberなのか?未だによくわかんないけど『青春病』とか『へでもねーよ』とか作る曲は相変わらず最高。
Vaundyとか秋山黄色とか同列に語られる人はたくさん居たけどなんだかんだ藤井風に落ち着きました。要注目。
やっぱりイケメンを見てると心が洗われるなぁ。というか細かい内容は↓に書いてあるのでそっち参照。
『HORN』/Kroi
去年から結構伸びているバンド。どうやらYoutubeの広告は偉大らしい。(広告見たかった)
「黒い」という読みの通りブラックミュージックを中心に多くの要素を含んだ楽曲を発表している彼らのことをただ「カッコいいミクスチャーバンド」だと思っていたんだけど、この『HORN』はその中でもめちゃくちゃ小気味よくてラップとかブラックでは留まらないぞという感じがビシビシと伝わってくる。要注目。
高音多めで風通しの良いボーカルと、それとは対照的にメロディはバキバキの音を出しているのでスルリと聴くことができてしまう。位置エネルギーのおかげでゼロカロリーなのであるみたいな感じ。全然違う。
あとすげーどうでも良いんだけどボーカルの髪型が僕の友達そっくり…というか同じだからMVを見るたびにそいつの事がよぎります。
『In Your Eyes』/The Weekend
『Bliding Lights』がめちゃくちゃハネた上に良い曲なんだけどコレは2019年の曲なので上げるのはこの『In Your Eyes』のほう。それにこっちの方が好み。
グラミー賞一歩手前で逃したウィーケンド抜きで2020年を語れないのは明白だよね。賞なんてどうでもいいんだよ!!クソ!!!
80年代まっしぐらを現代に召喚したのが『Bliding~』だと思うんだけどそのテイストにウィーケンドらしいちょっと不気味なテイストを味付けしたのがこの『In Your~』だと僕は感じる。つまりいいとこどり。というかこんな曲をチャートで見ることがあるか?(絶対ある)
僕自身チャートはあまり活用しない人間なんだけど、その中に煌々と輝くこの楽曲、ひいてはアルバムはやっぱり評価されるべきなんだろう。僕も好き!!
『Hole in The Sun』/Point Break Candy
『サイバーパンク2077』収録曲。どことなく下品で傍若無人な雰囲気を纏うこの曲はゲームの舞台であるナイトシティのストリートが持つ雰囲気をしっかり再現している。
黄色の唇に青のベロというアートワークもそれに拍車をかけまくっている。ていうか僕、スプリットタンってマジでダメなんだよ…なんか常軌を逸してるというか…
歌は最初から最後までテンション高め、かつ銃かファックかみたいなことを延々と言って終わる。殺戮を楽しんでいるんだよ貴様は!!(ちゃんと歌詞見てないけど)
あとゲームの感想書いてる最中なのでちょっと待っててください。
『海猫』/中田裕二
2020年内に二つもアルバムをリリースした化物、中田裕二の一曲。
マジでクッソかっこいい。音楽のトレンドがリバイバルされ始めてしばらく経つが、彼はいち早く…というか元からそこに居た。追い風という部分もある上にソロとして活動しだして9年の時を過ごしてここまで才能というのは枯れないものなのかと僕は立ち尽くすだけだ。
普遍的なバンドサウンドなんだけどアンニュイなツインギターはどこか遠くを眺めているようで切ない。『白日』みたいな曲作るのマジで得意だよね。でも彼は最近こういうチルっぽい曲しか作ってない。『ダブスタ』は起伏があったけど『ポータス』はテンション均一気味なアルバムなのもあって正直飽きが来たのでまたマレダロみたいな曲作ってくれ…
『Lucky Sue』/Men I Trust
カナダ発のドリームポップバンド。たまに来日してるらしい。ドリームポップということもあってめちゃくちゃ落ち着く上にふんわりとしたかわいさを持つ曲を作ることに関しては彼ら…ひいては彼女を信用してもいい。トラスト。
気怠げなボーカルが一定のリズムに乗って続くのになぜか退屈することなく、それどころかどこか心地よくていつの間にか曲が終わってしまっている。そういう時間を忘れさせてくれる曲だった。
明らかにMen I Trustっぽい曲なのにどこか他人行儀な雰囲気を醸しだしているのはなんでなんだ。空気の厚い層がそこにあって触れられないみたいな気持ちになる。
あと 「2倍速にするとマリオカートのBGMみたい」というコメントがあったのでその通りにしたらなかなかそれっぽくて面白いのでみんなもやってみよう。
『紫陽花と雀』/大槻美奈
美しいピアノを奏でながらどこか好戦的な曲を作る大槻美奈のコンセプトアルバム『BARD』収録。
例によってこの曲もめちゃくちゃカッコいいし芸が細かい。ピアノが良いって言ったけどそれと同じぐらいカッコいいのがシャキシャキ音を刻んでくれるドラム。詳しくは↓で。
『感電』/米津玄師
さすが米津みてぇな曲であり意欲作。音で遊んでることが多いのがハチからの特徴だと思うんだけどそれが今回ではめちゃくちゃ顕著に出ている気がする。しかもその遊びが今まで以上に心地よいしエクスクラメーションになってる。それにこんなにホーン系の楽器がなってるのって初めてだろうにここまで使いこなせちゃうもんなのか。やべぇよ。
タイアップしまくりの中でこれだけのクオリティを出せるのってやっぱり才能で溢れてんだなーと感じる。しかもそれがアルバムでも崩れてない。比べるわけじゃないけどKing Gnuの『CEREMONY』はシングル集みたいで既視感をどうしても感じちゃったしね。
あと笑顔とか舌を出す米津君が見れるMVは多分後にも先にもこれだけだぞ。多分。
『Drifting』/Cassia
インディーポップを発信しているイングランド出身のバンド。
僕はこういう牧歌的な曲が大好きなのだが、PVのロケーションも合わさってその雰囲気が何倍にも膨れ上がっている。めちゃくちゃ良いところだけどどこなんですか?そこ。
しかもメロディが日本っぽいキャッチーさを持っているように思える。インディポップ系なのだと言われたり他の曲を聴けば「ああ、洋楽だこれ」と納得できるんだけど最初に聴いたときは日本の曲だと思いました。だからという訳ではないんだけどすごく親近感を抱いてしまうし実際にそうなっている。
どこかで聴いたことがあるんだけどちょっと個性的なCassiaが送るこの曲は間違いなく名曲だ。
『愛なんて』/SPENSR
2020一押しアーティスト(重複)。
電子音を主軸に曲を作っているんだけどなぜだか生っぽいグルーブ感を感じるSPENSR。特にその気が強いのがこの『愛なんて』だ。しかも彼の唯一の日本語表記曲。
ていうか頭からつま先までゴリゴリな電子でネオソウル(合ってる?)が成立できてしまうんだなぁと聴くたび関心してしまう。いや僕が触れてこなかっただけか。
というか、この曲に留まらずだけど相変わらずベースが良いよ。ベーシストなのか疑うレベルで良い。そこにちょっと神経質っぽい声がとてつもなく合ってしまっている。必聴。
あと直近に行われたライブのアーカイブを1/3まで公開しているので今のうちに見よう。マジで見よう。
【2021.1.3まで】SPENSR Streaming Live “Wrapped 2020” - YouTube
『The Plan』/Travis Scott
映画『TENET』エンディング曲。開幕の低音がめちゃくちゃカッコよくて映画館で聴くと和太鼓を目の前で叩かれているかのような腹がズンズン鳴る感覚を倍にしたような体験ができた。
プランにはに劇伴の、劇伴にはプランの要素がいくつか顔を出しているため映画を見てから聴くとついついニヤリとしてしまう。(特に二回目以降)
特に曲最後に流れる『Meeting Neel』の一節は鳥肌モノ。トラヴィスのゆっくりとしたフロウもかっこいい。劇伴からこのプランにたどり着くまでの音楽が持つエッセンスの残し方は秀逸で、まさに映画のエンディングと言える楽曲。
「11曲あるじゃん!!」と投稿してから気づきました。この中で降ろすならMen I Trustです。でもせっかく書いたんで残しておきます。断腸の思いで曲を選び、書くために何度も聞きなおしたり、素人レベルの拙い分析をしたりと意外と時間とカロリーかかる作業をしてるのです。もったいない!それに好きな曲であることには間違いないからね!!
という訳で僕の2020年の曲ベスト10(大嘘)でした。みんなの2020年ベストも教えてね。
『冬のぼくたちは』/aoyama
寒くなると冬の曲を聴きたくなるし、その欲求を満たしてくれる素晴らしい曲は数多く存在する。
その中でも今年の僕はこの曲で過ごしたい気分なのだ。
冬が終わる頃は 街を駆けてく
君に会えるのだろう 約束なんて何もないけど探した答えは 乾いた風のなか
いつか春が来て ゆっくり思い出す『冬のぼくたちは』/aoyama
寒空の下でする深呼吸を夢想してしまう。鼻から吸い込んで温まることなく肺にまで入り込むあの冷たさ。痛いんだけど心地よくてついもう一回と吸い込んでしまうあの冷たさ。
ふんわりとした温もりがこもった心地よいポップスなのだが、ベースのお陰で背筋は伸びている。それに誰もに馴染む親近感のある声を通してストンと耳に入ってくる曲は聴く人を選ばない懐の深さをもっているように思える。
実際ボーカルの方はCMとかのナレーションとか多く担当してるようで妙な親近感はそのせいかもね。
というかこういう曲がめちゃくちゃ好みだ。マジでもっと評価されるべき曲なのでは…??というかこの曲が収録されたアルバム『月を読む』自体が名盤です。必聴。
あとyoutubeにはショートverしか存在していないのでフルを聴く場合はサブスクなどを利用しよう。
『Watch Dogs Legion』は冷酷だった【感想】
『Watch Dogs』シリーズは街中をスマホ片手にコソコソとハッキングし、パルクールしながら銃を撃つ。たまにカーチェイス。そんなゲームだ。 影に隠れ、遠隔で物を操る時の暗躍感とイタズラ感は大きな魅力の一つで、爆発するパイプの範囲内に敵をおびき出す瞬間は在りし少年の頃の感情が蘇りついニヤニヤしてしまう。
独自性の高いオンライン要素、オブジェクトによる即興性の高い戦闘、他人の個人情報や生活をボタン一つで盗み見る背徳感は他のゲームでは決して味わえない。大好きなゲームシリーズの一つだ。
そんなゲームの実質ナンバリング最新作が『Watch Dogs Legion』(以下レギオン)である。
レギオン最大の特徴はNPCをプレイアブルキャラに取り込めるという点だ。以前までは個性的な主人公が存在していたのだが、今回は画面に映るロンドン市民一人一人にバックストーリー、ボイス、能力値が自動生成で割り振られているらしい。
その数は膨大のようで、老若男女、ギークからスポーツマン、物乞いから芸術家までとにかく全ての人物をデッドセックというハッカーグループのメンバーとして迎え入れられ、また操作できるというのだ。
そしてキャラクターが死亡すると二度と戻らないという。(設定で変更可)
正直、なんじゃそりゃという感じだ。たしかに全NPCプレイアブル化は前代未聞の取り組みだし、非常に魅力的なコンセプトだろう。”Legion”、文字通りロンドン市民全員が”反逆者”。正直カッコいい。
しかし僕はエイデンの復讐劇やマーカスと仲間のワイワイをキャラクターの掘り下げや成長通しながら見たいのであって、見ず知らずでぽっと出の、死ねば二度と使えないキャラクターに思い入れもクソも無いじゃないか、と思った。
NPCの能力厳選作業が始まるに決まっている、どうせ1タイプに5パターン程度の個性なんだろう、ストーリーが変わるレベルで個性を自動生成するなんてことを可能にしているならNPCにリソースを割きすぎてゲーム自体のボリュームは少ないんじゃないか、とか色々考え……とにかく僕はレギオンに不信感しか抱いていなかったのだ。
そしてプレイしてみて思うのはやはり、僕の不信感はある程度当たっていたということだ。
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まず触って感じたことは「また操作変えやがったな」だ。
ウォッチドッグス1は操作にクセがあり、それがとっつきにくさや評価の低さの一端を担っていると僕は考えている。2では一般的なTPSに寄せた操作となったため「よしよし」と思っていた。しかしレギオンではまた1のような煩雑な操作に戻ってしまっている。しかも1とは微妙に違っているため操作感はどのゲームとも違うものになってしまっているのだ。脳がはちきれそうだぜ!!
幸いコンフィグをそこそこ自由にいじれるのが救いで、カバーと登るボタンを入れ替えるだけで違和感はかなり緩和される。
というかそもそもウォッチドッグスにはしゃがみボタンは存在しなかった。戦闘態勢になれば前作主人公達は自然と屈んだためステルスはスピーディかつ容易だったのだ。
老人でも余裕で腰を落とすためわざわざしゃがみボタンを実装する必要があったのかかなり疑問であるし、4でまた操作が変わるのを想像すると今から割と気が重い。(オンラインで使うのかな…)
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そして今回の売りである全NPCプレイアブル化もやはりというか微妙である。
微妙とはいえもちろん良い部分だってある。実際NPCはなかなかに個性的で、職業や年収などおなじみの内容に加え交友関係、検索履歴など見ていてついフフッとなるようなプロフィールがこれまで以上に作りこまれているのには驚いたし大いに楽しませてくれる。
マップ上に存在するNPCたちも動きや言動はバリエーション豊かだし、勧誘した人達はストーリーミッションだとガシガシ喋ってくれるためNPC探しで飽きるようなことは無い。その上話すすべての内容がしっかりローカライズされているなど日本語にも力をしっかり入れてくれているあたり流石UBIと言うべきだ。本当にありがたい。
だがしかし、いわゆるメタデータやデモグラフィックが物語に絡む瞬間は一度たりともない。フルボイスギャルゲ―で名前入力を要求されるようなものだ。せっかく僕が「かきもち」と入力しても結局は君、アンタ、お前呼ばわりでそりゃそうか、と興ざめする経験とよく似ている。
ゆえに2のような「映画で使った車奪ってそこらを走ればデットセックの宣伝になるんじゃね!?」的な楽しさは一切ない。なぜなら車を奪うのは映画オタクであるから、という動機付けがそこらの市民では不可能だからだ。
『レギオン』もキャラ同士で名前は呼び合う事は無いし、職業がストーリーに生かされる瞬間は無いためそりゃそうか。である。セリフや人員を充実させる中で遭遇するスカウトミッションの幅も多いとはギリギリ言えず、ゲームを続けるほどに既視感を感じてしまうものばかりだ。300人一斉解雇されたり、車をテムズ川に突っ込んだ回数はもはや覚えていない。
この手のやり取りはギャルゲー同様全く期待してはいないとはいえ、遊んでいるとやはり残念であるしゲームとの壁を感じてしまう。キャラ立ちも設定の絡め方も最初に操作することになるダルトンに敵う者は現れない。
その他にも体が不自由であったり腸内環境が悪かったり、突然死をしてしまう人など何らかのハンデを持っている人をデッドセックに勧誘する理由が無いのも残念な点である。
そういった人たちでの中にハンデ以外で個性的かつ強力なスキルを持つ人を見たことが無い。そのため最後まで彼らはただの弱者としてのみ存在するほか無いのだ。どうしてトレーラーにあった「ライフルでのダメージ増加」みたいな能力無くなったんだよ…付加価値くれよ…
女性のみとか高齢者のみとかこだわってチーム作りをするのも可能ではあるため一概には言えないが、そういった遊び方をわざわざしない限り自然とスパイや殺し屋、建設現場の作業員など強力かつほぼ固定のスキルを持った人々が集まってしまう。
素人考えだが、せっかくならレベル制にして新たにいくつか能力を与えられたり、デメリットを打ち消したりできるようなシステムがあれば人材選びも楽しくなったのになぁと思ってしまうのだ。
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それにシリーズ共通のシステムであるハッキングの要素が大きく狭まっていたのには落胆した。
最初に言った通り、このゲームの魅力は遠隔で物を操る時の暗躍感とイタズラ感にあると思っている。全シリーズユーザーが走行中のバイクにスチームパイプをぶつけたことがあるように、ああいう市民をオモチャにしたイタズラが楽しいゲームだったはずだ。(最低)
もちろん残ったハックはどれも便利であるし、戦闘で重宝するものばかりである。しかしハックのほとんどが戦闘に使うもので、停電とかギャングをけしかけるとか、使う場面は限られるもののあれば確実に楽しいハックは消えてしまっている。
おそらくキャラバランスやなんらかの兼ね合いのために削除されたのだろうが、市民で遊べることと言えばドローンで狙撃したり車をぶつける程度であり、ハッキングが全体的に地味で派手さがないのである。個人的なことかもしれないが残念であった。
そもそも市民の心証が悪くなるとスカウト不可能となるため気軽に彼らをオモチャにできないという面もあるのだが。
ここまで『レギオン』が好きな人からすれば心苦しい内容だったかもしれない。申し訳ない。でも待ってほしい。つらつらと書いたが、正直ここまでは許容範囲内だ。
「まぁ微妙なところはあるけれどあくまで”微妙”で収まるぐらいには楽しいな。好きだな。」といった具合に。
実際クリアし終えた後でも今作は悪いゲームでは決して無いと思っているのだ。嘘じゃない。
しかし一つ。このゲームでどうしても僕は受け付けることができない要素がある。僕が一番がっかり、というよりも「プレイするモチベーションが下がった」原因となったのはストーリーにある。
※物語中盤からのネタバレが含まれるので気になる人は次の画像が表示されるまでスクロール推奨。
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話のクオリティに差がありすぎるためにスカイラーセン周り以外語る場所はないこと。予想通りストーリーは短いこと。ボリュームをスカウトミッションに頼りきっているなどある。しかしそれらはさほど重要ではない。
ストーリーでDCL(デッドセックロンドン)に一切の主体性が無いことがわかってしまったのが最も重要であり、もはやがっかりを通り越して不愉快なのだ。
今作の物語は、"ゼロデイ"という突如現れたハッカーの招いた爆破テロにより、ロンドンと共にDCLは大打撃を負ってしまう。デッドセック再建とテロの阻止。そしてテロを理由に導入された民間警備会社アルビオンによる過激な治安維持からロンドンを解放しようと再始動するというものだ。
その過程である協力者と共に行動していたところ、DCLは協力者に騙され窮地に立たされてしまうのだが、それによって発生した問題を解決しようとしたときに彼らが発した言葉は「(騙した)彼を狙撃するしかない」だ。
僕はがっかりした。見損なった。なぜならそう発言したのはおしゃれで物腰が柔らかく、自らを僕と呼び、テーザー銃と逮捕スキルを持つ元警察官のおじさまだったからだ。
確かに騙されたのはムカつくし、殺害する以外選択の余地は無かったのかもしれない。しかしその中で容赦なく狙撃を選択するなんておじさまは警察としての何かをいつの間にか完全に捨ててしまっていたのだ。要は解釈違いである。
しかもこれはおじさまに留まらない。人身売買の元締めを逮捕しようと言った依頼主が結局逮捕でなく殺すことを選択したときも殺害の様子をボケーっと見てから帰った後で「あいつは殺されるべきだった」と同調するメンバーに、警備会社の要人を容赦なく殺した後にパーティーを開く元社員など、メンバー全員の行動や言動がなんだか…腑に落ちない。
直々に暴力を下すのでは無く、暴いた悪事を特徴的なアートワークを用いて公にするのがデッドセックの矜持だと2で散々見てきたというのに、肝心のDCLは人が殺される瞬間を黙って見ることができるし、人の頭をライフルで吹き飛ばす事にだって一切の抵抗感を持っていない。敵はさることながら、味方の倫理観すら崩壊してしまっているということが僕は本当に悲しかったのだ。
そしてなぜ倫理観が崩壊しているのかといえばやはり操作キャラがNPCだからとしか言いようがない。
”おじさま”はDCLの仲間として振る舞うし自身をPCと思っているがその実、結局はどこまでもNPCであり、与えられた「元警察官」という過去すら関係のない規定のセリフを発する自動生成された存在でしか無いという事実が浮き彫りになっているのだ。
そりゃそうか。それこそ映画の車をかっぱらうなんて思いつくのは彼らでは無理なんだ。
主体性のかけらもなく、他人の言葉に乗せられて暴力の限りを尽くす彼らを見て僕は恐縮してしまう。レジスタンスという大義名分とデッドセックという集団意識に飲み込まれた彼らは、ついには自己すら捨て去った冷酷なテロリスト達となってしまった。
そしてそんな集団を祭り上げるロンドンは見ていて本当に不愉快だった。サンフランシスコのデッドセックを見習ってくれよ!!マジで!!
他にもカーチェイスがほぼナシ、アビリティ替えが面倒、フォトモード周り、観光要素の削除など細々した不満点は多々あるのだが、これ以上は大した問題ではないのでとりあえず置いておく。
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今作を遊んで最終的に思うことは、「市民」という最大の個性を実装することにより元々持っていたハッキングや義賊のようなストーリーというシリーズ「らしさ」が薄くなってしまっているということだ。
確かに全市民プレイアブル化は魅力的なコンセプトではあることは間違いない。正直カッコいい。しかしそれだって過去作のキャラが登場するというDLCが用意されていることがコンセプトと相反してしまっていることからいよいよ今作が持つ個性すら薄れようとしているじゃないか。
正直、レギオンは僕にとって好きなゲームとは言えない。しかし悪い点だって喉元過ぎればなんとやら。特になんの思い出にもならなかったとはいえ遊ぶだけならレギオンはかなり面白い。
まず、なんといっても市民一人ひとりのスキルが非常に多種多様であるため遊んでいて本当に楽しいのだ。銃が強力だったり技が強力だったりと持つスキルによって使い勝手は本当に千差万別だ。テイクダウンモーションも相変わらずカッコいい上、それもキャラごとに複数用意されているため近接は非常に爽快だ。
スパイらしい、ハッカーのような見た目とそれに相応しい能力を持つ「らしい」キャラに遭遇したときの喜びもひとしおだ。確かに稀であるがその分非常にテンションが上がるし愛着が沸く。自分だけのキャラを探す宝探しのような感覚はなんだかハクスラ然としていてついつい市民の厳選を始めてしまう。
それに潜入や正面突破などのキャラごとに得意不得意が大きく違うのもすごくいい。普通のスキルポイント制のゲームならばステルスをしている最中に見つかった後も無双できるような両刀状態になることが大半であるため、緊張感はゲームを進める度に薄まっていくだけだ。それに対しこちらは気を抜けば一瞬でキャラを落とされてしまう。敵も次第に強くなるためいつだって適度な難易度で挑むことができる。
しかも単純に現代都市を取り扱ったオープンワールドは貴重だ。それが作り物のロンドンであるにも関わらず、相変わらず車で走っているだけで観光気分に浸ることができる。従来の観光要素無くなってしまったとはいえ一度テレビで見たようなあの建物や景色を見ることができるというのはやはり新鮮で楽しいものだ。
というか今回のロンドンがマジで好きだ。マップのクオリティと密度、それと圧政の敷かれた湿っぽいロンドンの雰囲気は当シリーズの中ではマジで頭一つ抜きんでている。
収集物は豊富かつそのどれもが一味違った場所にあるためマップの作り込みに説得力があるし、スカウトミッションだって攻略した敵陣地に再び訪れる理由を与えてくれるため遊びごたえがある。
本編終了後でもキャラが喋るきっかけがいくらでもあるというのも地味ながら貴重だ。クリア後に世界が終わってしまうことで強い虚無感を味わいがちなオープンワールドゲームにおいては嬉しい要素である。
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ただ。ただやはり僕はウォッチドッグスの醍醐味はバイクに爆発をぶつけたり、そこらのモブにギャングをけしかけたりなどといったコソコソしたイタズラ感にあると思うのだ。
もう一度言うがレギオンはしっかり面白い。シリーズらしさが失われた分本作ならではの楽しさは詰まっているし、独自の魅力だって放っている。決して短くない当シリーズが持つ歴史や独自の世界観を広げる役割だってしっかりと持っているだろう。
ただ、大小さまざまな点でウォッチドッグス「らしくない」し、血の通っていない「冷酷なゲーム」ではあり、そうでないことが僕にとって非常に重要であったということなのだ。
『Watch Dogs Legion』はシリーズファンならやる価値はある。やって損はない。ただ、「ウォッチドッグスシリーズ始めたい!」と思った人が最初にどれを選ぶかという話ならば今作の優先度は最も低い位置にあるということは間違いないだろう。
『白日』/中田祐二
顔のみ、かつクマの被りモノをしているという『Hotline Miami』を想起してしまうデザインをしているアルバム、「école de romantisme」(エコール・デ・ロマンティズム)に収録された名曲がこの白日だ。
元は「椿屋四重奏」というバンドで活動していた彼が解散して初めて出したアルバムの曲なのだが、マジでいい曲である。少し前に世間を騒がせた白日よりも好きだ。
(優劣はない。マジでない。)
確かなものには 不確かな思いがつきまとい
視界を曇らすけど 君だけは違ったね明日が何も語らずに 僕らを連れ出す
白日の下に すべてを打ち明けることができるのなら『白日』/中田祐二
すごく切ない歌詞をしている。なんたって歌いだしが「帰りたいけど帰る場所なんてない」である。あまりに赤裸々すぎるじゃないか。題名の白日たる由縁なのかもしれない。
しっとりとしたアコースティックギターの音を中心に構成された音たちは自然と僕の胸の内すら白日に晒してしまうようで、つられてセンチメンタルになってしまう。
きっと誰にだって後ろめたいことはあるものだ。そして縋りたくなる場所だってある。そんな心の弱さや心の拠り所の甘美さを歌ったのだ。切ないしやるせない、加えてセンチメンタルにもなってしまうが、この曲の価値はあまりに高い。
『紫陽花と雀』/大槻美奈
すごく複雑な曲なのにスッと入ってくる不思議な曲だ。音の密度というか、曲が持つ重量とボリューム感に震える。
暗めのピアノポップかと思っていると突然リズムとがガラリと変わり、また変わり、また変わる。こう書くと忙しないように聞こえるが、実際忙しない曲だという事は聴いてもらえれば納得してくれるはず。
なんだか舞台音楽みたいな曲の作り方をしてるような気がする。どこがと聞かれるとまったくわからないんだけど。とにかく叩きつけるようなピアノが情緒たっぷりでたまらないのだ。どこまでも感情的なのに旋律と歌詞がやけに冷静に感じられて不安定で。なんだか惹かれてしまう。
まぁ細かい事はいいじゃないか。この曲がカッコいいことは紛れもない事実だし、ひいては大槻美奈もばっちりカッコいい。
果たして曲を褒めるのにカッコいい以上の褒め言葉が必要なのだろうか?いや、多分必要なんだけど今の僕は少し頭が働かないからこれで勘弁して欲しい。