『ビッケブランカ』という魔法。【推薦】
ビッケブランカ。という単語だけを聞くとどことなく電撃を放つイメージが浮かぶ。バイキングの方かもしれない。
「なにそれ?」や「バンド?」聞かれることがほとんどだが、ビッケブランカはシンガーソングライターなのだ。そして僕は彼にくびったけなのである。
彼の大きな特徴はピアノとハイトーンボイス。一般男性にはとても出せないような高音を独学で学んだピアノに乗せて秀逸に鳴らしてくれる。(楽譜も読めないクセに)
彼は地声が高い訳ではない。むしろ低い。しかし、いやだからこそファルセットがしつこくないのだ。キンキンと響くのではなく伸びやかに僕の耳に入ってくる。おかげで聴き疲れせずにいつまでも聴いていられるのである。
そしてメロディセンスが抜群に良い。幼少のころから多くの洋楽に触れてきた彼は様々な要素を孕んでいる。例えばこの『CaVa? 』だ。
聞き覚えがない?SpotifyのCMが記憶に新しい人は多いのでは無いだろうか。フックの効いたパートと映像は非常にキャッチーである。(「Spotifyの飛行機の曲」でけっこう通じる。)
曲が流れるのはたった15秒なのにここまでやるか。ピアノで始まった癖に次のパートでは「C'MON!!!」と叫んでいる。なんて気になる曲なんだ。
そして彼が世間に大きく認知されたきっかけでもある、ドラマ「獣になれない私達」の挿入歌『まっしろ』。それまでジワジワとアニメやCMとタイアップを取っていたのだがやはり人気ドラマの挿入歌は強い。爆発的にファンを獲得した。
主題歌を歌うあいみょんの影に隠れつつもその存在感は十分。挿入歌として使用された『まっしろ』はYoutubeにアップされている彼の楽曲の中で再生数400万越えと頭2つほど抜きん出ている。
ゆったりとしたピアノとヴァイオリンに持ち味であるファルセットが絡みつく。なんていい曲なんだ。
冬にぴったりで大好きだ。アルバム『wizard』でこの曲がかかるまでの一連の流れも非常に良い。
wizard。そう、彼は魔法使いなのだ。
ビッケブランカの作る楽曲には一つも類似性が無い。世界でチャートを狙えるトレンド感の強いものから純J-POPまで、どれをとっても新鮮で発見がある。しかもその全てが高クオリティ。
そして恐らく彼のピアノによるものなのだが、音も「今」過ぎない。少し遊びがあるというのか、時代の波に耐えうる強度を感じるのだ。
多くのジャンルを作れるミュージシャンは数多く存在する。だがここまでのクオリティをキープすることや、それに伴う期待値を下回らない楽曲を作れる人間はそう多くない。
ビッケブランカはまだデビューして間もない。それでどうしてここまでクオリティの高い曲をそうポンポンと出せるのだろうか。魔法のようだ。
ライブパフォーマンスのクオリティの高さも素晴らしい。
客に歌わせ、サバが舞い、ベースがMCネタを叫ぶ。あぁ、なんてサバのように瑞々しいんだ。これも遊び心に溢れまくった『CaVa?』という楽曲が持つ魔力なのだろうか。
すごい一体感を感じる。今までにない何か熱い一体感を。
彼は現在も3か月連続シングルの2枚目『Black Catcher』をリリースしたばかりで着々と知名度を上げている最中である。紅白にだって出場するポテンシャルを持つ彼に注目しない手は無いと言い切ってしまいたい。
ともかく、言葉足らずなブログはネットの海に放り投げてとっとと彼の魔法にかかってしまえばいいのだ。
彼は小さなバイキングではなく大いなる魔法使いなのだから。