『白日』/中田祐二

顔のみ、かつクマの被りモノをしているという『Hotline Miami』を想起してしまうデザインをしているアルバム、「école de romantisme」(エコール・デ・ロマンティズム)に収録された名曲がこの白日だ。

元は「椿屋四重奏」というバンドで活動していた彼が解散して初めて出したアルバムの曲なのだが、マジでいい曲である。少し前に世間を騒がせた白日よりも好きだ。

(優劣はない。マジでない。)

確かなものには 不確かな思いがつきまとい
視界を曇らすけど 君だけは違ったね

明日が何も語らずに 僕らを連れ出す
白日の下に すべてを打ち明けることができるのなら

『白日』/中田祐二

 すごく切ない歌詞をしている。なんたって歌いだしが「帰りたいけど帰る場所なんてない」である。あまりに赤裸々すぎるじゃないか。題名の白日たる由縁なのかもしれない。

しっとりとしたアコースティックギターの音を中心に構成された音たちは自然と僕の胸の内すら白日に晒してしまうようで、つられてセンチメンタルになってしまう。

 

きっと誰にだって後ろめたいことはあるものだ。そして縋りたくなる場所だってある。そんな心の弱さや心の拠り所の甘美さを歌ったのだ。切ないしやるせない、加えてセンチメンタルにもなってしまうが、この曲の価値はあまりに高い。