『Surfer King』/フジファブリック

僕が学校から帰ると家ではよくフジファブリックが流れていた。母が好きだからだ。

小学校から高校にかけて家に帰ると何かしらの曲流れていたが、耳にした数が多かったのは彼らの曲だったような気がする。

 

しかしそれらの曲がフジファブリックだと知るのはボーカルの志村正彦が亡くなったと聞いた時だった。

母はひどくショックを受けていたし、その様子をみて僕も悲しかったのをよく覚えている。

しかしそれと同時に「母を泣かせたこいつ(ら)は何者なんだ?」という思わずにはいられなかったのだ。

 

そしてフジファブリックだと意識して聞いた初めての曲がこれだ。

この曲はほんとダサい。さらに志村は歌が上手くない。前奏のジョークみたいなギターとフワッとした歌いだし。初めて聞いたときには何もないところで転んでしまったような感覚に陥った。

当時の僕はシリアスな面持ちで聞いたのに…なんていうか。こんなはずじゃなかったのにという感じだ。

 

しかしどういうわけか、この曲はカッコいい。それに楽しい。フワッとして歯切れがいい歌でもないのに。

けらけら 笑っちゃうぜ このコメディアン

ケセラセラ どうでもヨークシャテリア

ボード代わりのレコードにノルよ

サーファーもどき アメリカの波

相当愚かなメメメメメリケン!!

『Surfer King』/フジファブリック

”どうでもヨークシャテリア”……ってなんだよそれ。肩から力が抜けていく…

 

楽しい曲調なのに「メリケン」とか(今どき色んな意味で使いづらいだろうに。)サビを「フフフ…」で迎える勇気とか、この悪ふざけしまくった感じの曲がフジファブリックの神髄だと僕はずっと思っている。

というか、そういう曲は意外と多い。「B.O.I.P.」とか。

 

デコトラの中心でゲイシャやらニンジャやらが踊り狂っているPVもなかなか個性的だ。さらにメンバーの雰囲気もやけに野暮ったいから笑える。

 

思い出深くてカッコいい、大好きな曲だ。